施設園芸地帯を中心に、最近展開している農業雇用には、従来とはちがった二つのタイプがあることを実態調査で確認した。 一つは、従来は零細貧農が給源だった農業臨時雇が非農家主婦層を給源とするようになったという変化である。非農家主婦層の就業拡大は80年代に入って一般化したがその就業分野として施設園芸などが選ばれているのであり、スーパーのパートよりは、土にふれる楽しみがあるだけいいと歓迎されている。また、生鮮野菜、とくに葉物の選別行程を家庭内内職とする非農家老人が増えている。選別の多労性は施設園芸の規模拡大・導〓化の大きなネックになっていたのが、こういう雇用形態の拡大で克服されつつある。新しいタイプの雇用形態である。 もう一つの新局面は通年雇用農業労働力についてであり、非農業就業よりも農業就業を選択し、農業経営者としての自立を目指す青年が出てきている。求人雑誌へ雇用募集を行う農業者が増えているが、それへの応募者は農家出身者とは限らなくなっている。横浜の会社をやめて青森の農場へ就職した東京の青年がわれわれの調査対象者のなかにいた。農業雇用市場も、かつての局地的市場から全国市場化してきているということである。 こういう農業労働者を雇用する農業経営は、法人格をもつ〓たないにかかわらず企業会社方式をとり、経営者はマネージに専念するようになっている。資本制御農業経営が一〓の層として形成されつつあることを確認できた。
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