研究概要 |
ヒスタミン神経系の関与が大きいと考えられるいくつかの病態に焦点をあて病態モデル動物での脳内ヒスタミン神経系の活性を,in vivoでのヒスタミン遊離動態から神経化学的に測定し,これらの病態の発症と維持の各ステージにおけるヒスタミン神経系の関与の重要性とその機構を神経化学的に明らかにすることを目的に研究を遂行し,初年度には以下のような成果を上げることが出来た. 1.高感度蛍光モニターの導入により,ヒスタミン分析の感度を約5倍上昇させた. 2.ヒスタミン神経系に共存しているγアミノ酪酸(GABA)の高感度特異的分析法を開発した. 3.この結果,同一透析試料よりヒスタミンとGABAの同時分析が可能となった. 4.ヒスタミン神経系の起始核である結節乳頭核の電気刺激により視床下部前部および大脳皮質からGABAがヒスタミンと同時に遊離することを証明し,ヒスタミン遊離とGABA遊離とでは刺激強度の至適条件が異なることを見い出した. 5.この結節乳頭核を電気刺激すると,正常血圧動物の動脈圧が刺激強度依存性に上昇し,この上昇はヒスタミンH1-受容体遮断薬の前投与により抑制された. 6.痙攣の発生に大きな役割を果たしている興奮性アミノ酸伝達物質であるグルタミン酸が,ヒスタミンの遊離に対して,NMDA受容体を介してプレシナプス性に興奮性に制御している事実を見い出した. 7.高血圧および痙攣の病態モデル動物については実験実施のための基礎的な検討を終了し,脳透析を行うためのそれぞれの至適条件を設定した.
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