研究概要 |
Gap結合はconnexinよりなるconnexonを基にした膜チャンネルであり、隣接した細胞とイオン、代謝物等を交換する機能的な結合である。これは全ての臓器において存在し、増殖などの調節を行なっていると考えられている。我々は消化管に着目し、その機序について検討を行なった。我々は培養ウサギ胃粘膜上皮細胞を作成した。松岡らの方法に準じて作成し、Surface mucous cell 40%,Mucous neck cell 20%、Parietal cell 20%,Chief cell 15%であった。まず、培養ウサギ胃粘膜上皮細胞のGap結合の存在をconnexin32、43に対する抗体から作成した蛍光抗体を用いて免疫組織学的に検討した所、connexin32よりも43に対する抗体によく染まった。これらのことにより、培養ウサギ胃粘膜上皮細胞もGap結合を有することが明らかとなった。更にその細胞間コミュニケーション能を検討することにした。細胞間コミュニケーション能はLucifer Yellow CHをmicroinjectionする方法で行なった。まず、サイクリックAMPの産生とその細胞間コミュニケーション能との関係を見てみると、IBMX,forskolin,isoproterenolによりサイクリックAMPの産生と同時に細胞間コミュニケーション能が増加した。次に細胞内Ca^<2+>濃度の上昇と細胞間コミュニケーション能との関係を見てみると、ionomycin及びカルバコールでは細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を生じ、細胞間コミュニケーション能を低下させた。TPAによりCキナーゼを活性化すると細胞間コミュニケーション能は低下した。更にヒト胃粘膜で抗connexin32抗体及び抗connexin43抗体を用いてWestern blottを行なった所、バンドが認められた。これらのことにより、胃粘膜においてGap結合は存在し、同種細胞のみばかりではなく、異種細胞間で細胞間コミュニケーション能が存在し様々な因子により調節される可能性を明らかにした。
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