研究分担者 |
小林 久夫 立教大学, 原子力研究所, 教授 (10062605)
森 茂郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30010424)
成内 秀雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012741)
冨田 敏夫 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00126129)
三枝 好幸 東京大学, 医科学研究所, 医員
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研究概要 |
Carcinoembrionic Antigen(CEA)に対する単クローン抗体を作製し、^<10>B化合物(Cs_2^<10>B_<12>H_<11>SH)を封入したLiposomeを結合させImmunoliposomeを作製し、CEA産生性ヒト膵癌細胞株AsPC-1細胞に対し、中性子捕捉療法(BNCT)を行ない、細胞障害効果をin vitroで認めた。AsPC-1細胞(5×10^4/well)を96穴マイクロプレートに播種し、Gamma Cell40にてγ線を照射し^3H-thymidineを加え^3H-TdRの取り込みを測定した。熱中性子5×10^<12>n/cm^2で生じる3.36Gyのγ線により軽度の細胞障害性を認めた。このためγ線の影響が無視できる熱中性子2×10^<12>n/cm^2以下の量を用いることにした。卵黄Phosphatidyl Choline,Cholesterol,DTP-DPPEを用いて250mM^<10>B化合物を加え、^<10>B封入多層Liposomeを作製した。また、この^<10>B封入Liposomeに抗CEA単クローン抗体を結合させ^<10>B-Immunoliposomeを作製した。1×10^7個のAsPC-1細胞を6〜8週令のヌードマウスの背部に接種し、約8mm大になった時点で^<10>B化合物溶液(0,500,1000,2000ppm)、^<10>B封入Liposome、^<10>B-抗CEA-Immunoliposomeを0.2ml腫瘍内へ局注し立教大学原子炉にて2×10^<12>n/cm^2の熱中性子を照射した。 経時的に観察すると、^<10>B化合物注入群では、腫瘍表面は壊死に陥り腫瘍自体の縮少傾向も認められ、病理学的には壊死部位は繊維組織に置き変わっていた。対照の生食注入群では上記変化は認められなかった。^<10>B化合物溶液注入群では^<10>B濃度依存性に腫瘍増殖抑制効果を認めた。^<10>B封入Liposome注入群において^<10>B化合物溶液(2000ppm)注入群と同等の増殖抑制効果を認めた。さらに^<10>B-Immunoliposome注入群では、^<10>B封入Liposome注入群以上の増殖抑制効果を認めた。なお上記Liposome内に封入された^<10>B化合物の濃度は平均623ppmであった。 ^<10>B-Immunoliposomeの腫瘍内局注において、BNCTの腫瘍増殖抑制効果を確認した。Immunoliposomeは効果的な^<10>B原子の腫瘍へのtargeting carrierとして有用と考えられた。
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