実験的研究においては、肝内結石症犬の作製を、肝内胆管の狭窄を作ることにより試みたが、いまだ結石の生成をみていない。 肝内胆管の狭窄作製に異物を挿入することは、臨床的には問題があると考え、肝内胆管を結紮することを施行したが、肝の実質に変化をきたすものの、感染を付加できないため、結石の生成は不成功に終っている。この事実は、狭窄、胆汁うっ滞、胆管拡張のみでは結石は生成されないことを示唆しているが、なお感染を起こさせる方法、狭窄の作製法および拡張胆管の胆汁採取法などについて検討する必要があると思われる。 一方、実験動物としての成犬の入手が困難な状況になってきている現在、ラットなど他の実験動物を用いてのモデル作製法を考えている。我々の教室では、ラットにおいて総胆管大腸吻合を行い、その長期観察例では結石の生成をみたという実験報告を行ってきた。結石の生成までに長期間(約20ケ月)を要するが、このモデルを肝内結石症の実験モデルとして応用できるかどうか、現在検討中である。 臨床的には、胆汁の組成変化、肝実質、肝内胆管組織の光顕ならびに電顕的検討を主体に検討している。
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