研究概要 |
本研究は,ヒトの歯牙に標点となる超小型のセンサ2次コイルを装着し,咬合関係が定量的に計測できる歯牙変位測定器の開発を行っている. 平成4年度の研究は,試作器を製作するに必要な基礎的な実験ならびに研究環境の整備を中心に行い,以下に示す成果を得たので報告する. 1. 研究環境の整備は,歯牙変位測定器組込み用コンピュータ(NEC社製PC-9801FA),電子回路ディバイス,各消耕品等の資材購入を行い,試作器が製作できる体制を整えた.また,計画していたμVAX-3600との接続は,歯牙変位測定器組込み用コンピュータの性能が良く,本装置だけで十分処理が可能であり不必要であることがわかった. 2. 測定器の機能別設計ならびに回路シミュレーションに関して,6自由度の要素別センサは,回路設計ソフト(PSpice)を用いて,購入したコンピュータ(NEC社製PC-9801FA)上で開発中である.また,各電子回路ディバイスの特性も明らかになり,測定器に組み込む機能別試作回路の設計も進行中である. 3. 歯牙へのトランスデューサ設置に関する基礎的研究に関して,研究の最も重要な部分である微小な変位を非接触で測定する研究は,センサ2次コイルの形状が大きい状態で実験的にS/N比の良好な結果が得られた.今後は良好なS/N比を保ちながらコイル形状をどれだけ小さくできるかを追求しなければならない. 4. 各歯牙座標系の高精度な重ね合わせ方法の開発は,スーパーグラフィックコンピュータGS-1000(ステラー社製)上で基準となる歯牙滑走運動の描画が完成し,各座標系の重ね合わせ方法および歯牙の立体イメージ表示法についても考案中である. 5. 測定器開発における基礎資料としての各種顎機能データの収集と解析作業は,ほぼ予定どおり進行している.
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