研究概要 |
タンパク分解酵素潅流法により、モルモット肝から分離肝細胞を作製した。分離肝細胞浮遊液にFura-2 AMを負荷したのち、蛍光強度比により、細胞内Ca^<2+>濃度を測定した。ハロセンは1,3,5,10MACに相当する量を注入した。また、トリパンブルー染色を肝細胞分離後、Fura-2 AM負荷後、ハロセン注入後に行ない、肝細胞の生存率を評価した。 その結果、(1)静止期肝細胞内Ca^<2+>濃度は約150nMであり、細胞生存率は86.5%であった。(2)ハロセン添加により、細胞内Ca^<2+>濃度はハロセン濃度依存性に増加し、肝細胞生存率はハロセン濃度依存性に低下した。 つまり、ハロセンによって細胞内Ca^<2+>濃度は上昇し、しかも、その上昇と細胞生存率の低下には相関関係がみられ、ハロセン濃度依存性に肝傷害の生じることが明らかになった。また、ハロセン臨床使用濃度でも、細胞内Ca^<2+>濃度の上昇と細胞生存率の低下を認め、肝傷害の生じる可能性のあることが示唆された。 しかし、その原因については、小胞体のCa^<2+>ポンプの機能障害によるとする意見や、肝細胞膜の傷害により細胞外からCa^<2+>が流入するという意見などがあり、現在のところ明確な機序は明らかではない。従って、今後は細胞膜のCaチャンネルや小胞体の脂質過酸化などの面からも検討を行ないたい。
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