自由食で十分肥らせた成熟マウスと遺伝的肥満の成熟Zuckerラットを絶食を含む種々のエネルギー制限食下におき減量させた後、自由摂食下におき、この間の回復状況を追跡し、減量後の自由摂食が肥満促進効果をもつことを証明した。 1.減量後自由摂食にすると1日当りで明らかな過食に陥入り、体重も減量前より重くなった。 2.エネルギー消費量も減量前よりやゝ高くなったが、外部活動は、有意に低下し、活動負担度、活動変化量も少なくなり、外的には明らかにおとなしくなった。 3.しかし、基礎代謝量、安静時代謝量などの内部活動量は、逆に減量前より高くなり、体力の回復にエネルギーがより多く使われている様を明白に把えることが出来た。 4.したがって、2と3の内・外の活動量の和は、実験期間中変化がなく、生物のもつ恒常性の一種の現象と考えられた。 5.呼吸商の変化から、減量中は脂肪がよく燃焼し、回復期には、脂肪燃焼が大きく抑制され、しかも、その抑制が長く続くことが分った。 6.体中の脂肪含量も5の結果を支持し、減量後の急激な体重回復は、脂肪の過剰蓄積を誘導することが証明された。 7.別に、成長期のマウスで同様な実験を行ったところ、上記の傾向は長く続かず、成熟したもののほうが肥満になり易いことが明らかとなった。 8.その他、脂肪代謝酵素の変動、運動による減量効果などについても検討中である。
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