本研究の目的は、発音の修得度が種々の段階の人々により発声された音声を分析して、スペクトル、ホルマント軌跡等の種々の音響パラメータを求め、そして発音の学習度の違いが音声特徴量にどの様に影響を及ぼすかを明確にすることである。 また発音時の呼気流速パターンと発音学習度の関係も明らかにすることである。 そこで先ずは音声の分析システムの作製を行った。 音声はカノープス社のSOUND MASTERを用いてAD変換を行い、購入したパーソナルコンピュータPC9801-FA2に音声処理ソフト音声工房を用いて取り込みフロッピーディスケットに格納する。 また音声の分析はFFT、線形予測、ケプストラム等の分析が前述の音声処理ソフト及びすでに有しているソフトを用いて行え、またその分析結果が表示できるシステムを完成した。 それから呼気流速パターンの収集および分析は平成元年度〜2年度の科学研究補助金の援助の基に作製したシステムを用いることにした。 本研究では発音の修得度が異なる被験者の適切な選出が大切である。 そこで研究代表者の所属する筑波技術短期大学の学生の中で発音学習度の異なると思われる者10人を選び発音明瞭度テストを行った。 平成4年度はこれら被験者の中から発音学習度の明確に異なる3名を選出した。 そして3名の被験者の音声をテープレコーダに録音し、また音声と同時に唇より放出される呼気流速パターンの収集を行った。 現在前述のシステムにより、収集した音声の分析および呼気流速パターンの分析行っている。 ところが音声の分析は非常に多くの計算量を必要とし現在でのほぼ最速に近いパーソナルコンピュータ、PC9801-FA2でもかなりの時間がかかり、はじめの計画以上に分析及び検討に時間の必要なことが解った。
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