1)舞踊記述法に関する資料収集;資料はA:音楽関係、B:舞踊関係、C:コンピーュター関係にわたって収集閲覧した。Bのうち、日本の舞踊記述法については東京国立文化財研究、早稲田大学の演劇博物館などの資料を、西洋のものについては芦原コレクション(都上野図書館)、ニューヨークのリンカーン・センター、ラバン・センターおよびいくつかの大学図書館の資料を対象とした。 2)舞踊の計量化にかんして;音楽にくらべると視覚情報量が膨大で、再現可能な全体の記号化は困難という結論にいたった。そこで、実用のための記録はマルチメヂアにゆだね、分析のためには、目的にみあった記号化・抽象化に限ること、本年は、それに基ずく計量プログラムを試作することを目指した。 3)計算プログラムのモデルとしては、動物行動学における動作要素(エレメント、動作カテゴリー)の抽出と行動連鎖の解析法を参考にした(Rousenfeld H.M.;Mesurement of body motion and orientation 1982)。 4)バレエと日本舞踊の特定作品について、まず最初は、型や技法名を動作要素としてとらえ、上記プログラムを適用した。しかし、型や技法名が、運動学的な一貫性をもたず、この点を修正検討する必要があることがわかった。 5)比較研究のためには、(A)普遍性のある動作要素の抽出分類と、意味単位の連鎖の解析には(B)マルコフ過程の適用の可能性を今後の具体的課題としている。
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