研究課題
本研究の目的は、帰国後の留学生の実情について、すでに帰国した人々のみを対象とした現地中心の調査ではなく、わが国の側で各大学の卒業留学生名簿を作成した上で、客観的で偏りのない標本について調査をおこない、将来の役割について検討することである。こうした研究は、国立大学の留学生センターの指導担当教官の共同研究としては初めての試みであり、初年度は共同研究者のいる諸国を拠点として、アジア地域を中心に予備的な調査をおこなった。日本人研究者による計画打ち合わせを開催したのちに分担国を最終的に決定した。各研究分担者は各国の対象者のリストを作成し、調査項目の決定、調査表の作成を行い、日本人研究者6名が韓国、タイ、マレーシア、インドネシアでの調査を行った。台湾についても別途、同様の調査を実施した。その際、現地では研究協力者との個別会議を開催した。また、それぞれの必要に応じて帰国留学生との面接を行った。こうした一連の研究プロセスにより日本側研究者の現地事情に関する認識もきわめて高いものとなった。現時点では、多くの帰国留学生のうち、国立大学で留学生センターの設置されている大学の卒業生のみを対象としている、という点は大きな制約であるが、それでもなお多くの卒業生の現状が把握できない状況であることが判明してきている。また、帰国留学生会がすでに設置されている国では、かなり調査協力体制が得られやすく、次年度以降の調査の基盤づくりが進んだ。今年度、予備的な調査を行った各国での調査結果については、現在、報告書を印刷中である。