研究概要 |
まず,凝固に関係する融体の物性測定に関連して,高温用に開発した微粒子散乱法測定装置により溶融塩KNO^3,NaNO^3の粘性挙動を測定した。その結果高温融体の融点付近では粘性率の最大値と最小値の幅が増大することを検出できた。これは液体構造の影響による可能性が大きい(長島)。次に酸化物超伝導体の結晶成長のシミュレーションとして行った有機物質の結晶成長についてミクロモデルを作り,実験結果がかなり説明できることを示した。また界面での異物質補足に関して新たな機構の提案を行った(大中)。非ファセットデンドライト成長について,過冷却場での結晶の自由成長と,壁面冷却のもとでの場の緩和を伴いながら,結晶が肥大化する凝固の過程と機構を,Bi-Sn合金融液を供試した実験により究明し,さらにミクロ組織と構造を組込んだ速度論を展開した(林)。さらに,過去2年間の研究成果を基にCZ法による酸化物単結晶育成に関し,マクロモデルによる炉内輸送現象の解析および実際のLiNbO_3単結晶育成実験を通して,育成条件(炉構造)-結晶内熱応力を含めた炉内輸送現象-結晶品質(マクロ欠陥であるクラック)との相関を明らかにした(塚田)。最後に,微小金属柱を引伸ばしながら形成する動的凝固過程の理論モデルを考え解析を行った。さらにこれに対応する実験を行い,理論と一致する結果を得た。3次元回路形成の際に必要な導体接続の微細化に関する定量的検討が可能になった(中山)。これらの研究を通じ,種々の凝固プロセスにおけるミクロとマクロの両モデルの必要性を明確にし,新たなモデルを展開した。
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