研究課題/領域番号 |
05242101
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
釜江 常好 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90011618)
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研究分担者 |
高原 文郎 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20154891)
桜井 敬久 山形大学, 理学部, 助教授 (60150265)
山上 隆正 宇宙科学研究所, 助教授 (40013718)
矢島 信之 宇宙科学研究所, 教授 (30200489)
高橋 忠幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50183851)
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キーワード | 天体観測 / 硬X線検出器 / シリコンPINダイオード / 井戸型フォスウイッチカウンタ / シンチレータ / γ線天文学 / X-線天文学 / 気球 |
研究概要 |
数10KeVから数100KeVのエネルギー範囲はHEAOA4でサーベイされてのち、ほとんど手付かずに残されてきた。われわれはこの硬X線領域で、すぐれた観測を行うために検出器の開発を進めてきた。これまでに井戸型フォスウイッチカウンタの概念を考案し、バックグランドの非常に低い気球実験用検出器の開発に成功した。本年度は検出器の改良をすすめると同時に、宇宙科学研究所三陸気球基地より気球実験を行い、試験観測を行った。又、理化学研究所の加速器の陽子ビームを用いて宇宙環境でのシンチレータの放射化の研究を進め、われわれが新しく白ロシアのミンスクの研究所と開発を進めているYADシンチレータが放射化の影響が小さいことがわかった。我々が開発した井戸型フォスウイッチカウンタでは、結晶内部に含まれる放射性同位元素によるバックグランドが全体のバックグランドレベルを決める所にまで低バックグランド化を進めている。この放射性同位元素の混入は素材を高純度化することで減らす事ができると見通しがついた。現在は結晶製作に使用するルツボなどに含まれるウラン,トリウム系列の放射性同位元素が問題となる事がわかっている。本試験研究を通じてGSOあるいはYAPといった新しいシンチレータが放射化を考えたときに従来のNaI(T1)ととってかわる性能を示すことがわかってきた。エネルギー分解能もGSOの場合では、1MeV近辺でNaI(T1)と同程度のものが素材の高純度化を経て得られるようになった。 平成5年度に最初に浜松ホトニクスが製作した750ミクロン厚のシリコンPINダイオードは、リーク電流が多くわれわれの目標であるエネルギー分解能に到達しなかった。750ミクロンの空乏層を得るために必要な電圧は500Vにも達した。これらの原因は素材の品質によるものと考えられる。我々の試験結果を受けて第2段階としてヨーロッパの素材メーカーより高純度で高い比抵抗をもつ素材を用いる事とし、製作を開始した。
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