研究課題/領域番号 |
05245101
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河津 璋 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20010796)
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研究分担者 |
長谷川 哲也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (10189532)
富取 正彦 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (10188790)
重川 秀実 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (20134489)
小川 恵一 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 教授 (00233411)
岩澤 康裕 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40018015)
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キーワード | トンネル物性 / 走査トンネル顕微鏡 / 走査トンネル分光法 / 表面 / 半導体 / 触媒 / 層状物質 |
研究概要 |
本年度は、固体表面の構造、電子状態、原子・分子過程を原子レベルで解明することを目的として、STM、STS等の方法により研究を行っている。本年度の研究実績の概要は以下の通りである。 河津は、Si(001)表面上のAg吸着構造、Si(113)表面上のGa及びAlの吸着構造についてしらべた。Ag/Si(001)の場合、高温で蒸着した場合と室温で蒸着して熱処理をした場合では異なる二次元相が形成されることが明らかにした。Al,Ga/Si(113)においては、金属の被覆率の増加とともに、3×1,2×2,n×3構造が共通して出現する事を明らかにし、これらの相に対して、構造模型を提案した。 岩澤は、二酸化チタン(TiO2)結晶の(110)表面に吸着したギ酸・酢酸・トリメチル酢酸イオンのSTM観察に成功した。また、Si(111)-(7×7)表面のトリメチルガリウム・トリエチルガリウム分子の熱および光分解過程をSTMによって明らかにした。 小川は、Si(111)7X7表面をArイオンで照射し、照射欠陥の回復過程をSTMで観察し、回復過程が2段階の過程からな流ことを明らかにした。 重川は、低温(〜6K)でSTM測定を行い、これまで80K辺りで安定化するとされてきたSi(001)表面の超構造が、実は、より低温では二つの相の間で大きく揺らぐことを見出した。また、BEDT-TTF系の低次元有機伝導体に関しても、転移点近傍で、電子構造の揺らぎの直接観察に成功した。 富取は、探針評価が可能なSTM/STS複合装置を開発した。STS測定前後の探針のFEM像を比較し、STS測定時に探針へのSi原子の吸着によるFEM像の変化を調べ、トンネルスペクトルとの相関を確認した。 長谷川は、低温型STMを用い、層状物質の観察を行なった。高温超伝導体YBaCuO系の(110)配向膜では、4.2Kで銅原子の原子像が観測され、2次元的な電子構造が明らかになった。また、遷移金属ダイカルコゲナイト系の電子局在の様子を初めて捉えることに成功した。
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