研究課題/領域番号 |
05270103
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 亀代次 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (80144450)
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研究分担者 |
塩見 忠博 放射線医学総合研究所, 遺伝研究部, 室長 (40162573)
中村 健司 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (90253533)
續 輝久 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (40155429)
石川 隆俊 東京大学, 医学部, 教授 (30085633)
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キーワード | 色素性乾皮症 / 突然変異 / 活性酸素 / 遺伝子ターゲッティング / ES細胞 / 紫外線 / モデルハウス / 発がん |
研究概要 |
色素性乾皮症A群遺伝子をノックアウトしたマウス(XPAマウス)を用いて、紫外線による皮膚発癌実験を行なった。マウスの背中を剃毛し、紫外線(UVB)をそれぞれ1000J/m2,2000J/m2,4000J/m2週3回照射した。正常マウスにはこれらの紫外線量では何の変化も認められなかったが、XPAマウスでは、2000J/m2,4000J/m2の紫外線照射1週間後に皮膚潰瘍が形成され、紫外線に高感受性である事が示された。4000J/m2の紫外線量では12週、2000J/m2では24週より急速に増大する腫瘍がXPAマウスに出現し、病理学的に有棘細胞癌と診断され、ヌードマウスに移植するとこれらは腫瘤を形成した。以上のデータより、XPAマウスは紫外線照射により皮膚発癌が非常に高頻度に起こる事が示唆され、A群XP患者における日光誘発皮膚癌の発症機構を探るよいモデルになる事が示唆された。一方、大腸癌のMutT遺伝子は、ヌクレオチドプールにおいて、突然変異原性が強い酸化型の8-oxo-dGTPを8-oxo-dGMPに加水分解する酵素8-oxo-dGTPaseをコードする事が明かになった。そして、この遺伝子のホモログ(MTH1)がヒト、マウスからもクローニングされた。高等動物におけるこの遺伝子の発癌や老化過程等における役割を解明するため、遺伝子ターゲテイング法によりMTH1遺伝子をノックアウトしたマウスを樹立した。このマウスは正常に誕生し、大きな形態学的および行動上の異常は認められていない。他方、色素性乾皮症G群(XPG)遺伝子の一方の対立遺伝子をターゲテイングしたES細胞を樹立し、キメラマウスを現在作成中である。また、in vivoでの体細胞突然変異を大腸菌系で検出できるシャトルプラスミッドpML4を遺伝子導入したトランスジェニックマウス(HITECマウス)を用いて、脳、脾臓、肝臓での自然突然変異頻度を算出したところ、5x10-5という値が得られた。このマウスをMNUで処理すると、突然変異頻度が5倍増加し、この系の有用性が示唆された。
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