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1994 年度 実績報告書

環境因子に対する感受性を支配する遺伝的要因

研究課題

研究課題/領域番号 05278118
研究機関北里大学

研究代表者

井村 伸正  北里大学, 薬学部, 教授 (70012606)

研究分担者 巽 純子  京都大学, 医学部, 助手 (80128222)
西村 泰治  熊本大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10156119)
鎌滝 哲也  北海道大学, 薬学部, 教授 (00009177)
キーワード水銀化合物の腎毒性 / γ-グルタミルトランスペプチダーゼ / 薬物代謝 / 遺伝的多型性 / HLAクラスII分子 / 抗原ペプチド / 極低周波電磁場 / DNA鎖修復
研究概要

本研究では、環境因子による生体影響の個体差を決定する要因を明らかにするために、(1)様々な環境因子に対する感受性を支配する遺伝的素因が存在するか否かを検討し、(2)その本態と遺伝的多型性を遺伝子レベルで明らかにする、(3)すでに遺伝的要因が明かな場合には、その素因の有無や変異によって何故環境因子に対する感受性が変化するのか、その因果関係を生化学的に明らかにする、ことを目的として検討を行った結果、以下の成果が得られた。
環境汚染物質として特に重視される水銀化合物の標的組織である腎臓における毒性発現に影響を与える遺伝的要因について、異系統のマウスを用いて検討した。その結果、C3H系マウスに比べてC57BL系マウスでは無機水銀投与による腎毒性に対する感受性が極めて低いこと、そしてその差が腎臓中への水銀の蓄積性に起因している可能性が高く、その蓄積性及び感受性を支配する要因として腎臓中のγ-グルタミルトランスペプチダーゼが関与している可能性が示された(井村)。環境化学物質の代謝酵素であるチトクロームP450の分子種チトクロームP4501A2(CYP1A2)及びチトクロームP4502D6(CYP2D6)の遺伝的変異、多型について検討した。その結果、染色体のCYP1A2遺伝子の上流-2964に、遺伝的多型を示す変異を見いだし、これがCYP1A2の転写活性に関与していることが示された。また、CYP2D6において、poor metabolizerのエクソン9のHR-2領域下流に9塩基の挿入を認め、健常日本人4/300名がこのヘテロ型であることを見いだした(鎌滝)。免疫応答の個体差を支配する遺伝要因のうち、特にヒト主要組織適合抗原系(HLA)に着目し、慢性関節リウマチ(RA)への感受性を決定していると考えられるHLA DR4及びDQ4に結合するペプチドの特徴を明らかにした。この結果を利用することにより、RAにおける自己免疫現象の標的の1つと考えられるII型コラーゲン中にDQ4結合性ペプチド94種類、DR4結合性ペプチド3種類が同定され、RA患者におけるII型コラーゲンに対する自己反応性T細胞の応答がDR4ではなくのDQ4によって行われている可能性が示された(西村)。電磁場のDNA修復過程に及ぼす影響及び突然変異誘発能について検討する目的で、DNA鎖切断修復過程に異常が見られる細胞を用いて電磁場曝露のDNA鎖修復に及ぼす影響を検討したが、電磁場のみの効果は少なくともFADU(アルカリ巻き戻し)法では観察されなかった(巽)。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Miura.K.,Imura,N.,et al.: "Establishment and characterization of methylmercury-resistant PC12 cell line." Environ.Health Perspect.102. 313-315 (1994)

  • [文献書誌] 鈴木美恵子,香川(田中)聡子,永沼章,井村伸正,山中宣昭.: "マウスにおける無機水銀腎毒性の系統差とメタロチオネイン及びグルタチオン濃度との関係" 生化学. 66. 753 (1994)

  • [文献書誌] Nakajima,M.,Kamataki,T.,et al.: "Phenotyping of CYP1A2 in Japanese population by analysis of caffeine urinary metabolites;absence of mutation prescribing the phenotype in the CYP1A2 gene." Cancer Epidem.Biomark.Prevent.3. 413-421 (1994)

  • [文献書誌] Yanakawa,Y.,Kamataki,T.,et al.: "Stable expression of human CYP1A2 and N-acetyltransferase:Mutagenic activation of 2-amino-3-methylimidazo [4,5-f]-quinoline(IQ)and 2-amino-3,4-dimethylimidazo[4,5-f]quinozaline(melQX)." Cancer Res.54. 3422-3427 (1994)

  • [文献書誌] Nishimura,Y.,et al.: "Allele specificity of structural requirement for peptides bound to HLA-DRB1^*0405 complexes:Implication for the HLA-linked susceptibility to methimazole-induced insulin autoimmune syndrome." J.Exp.Med.180. 873-883 (1994)

  • [文献書誌] Miyakoshi,J.,Ohtsu,S.Tatsumi-Miyajima,J.,Takebe,H.: "A newly designed experimental system for exposure of mammalian cells to extremely low frequency magnetic fields." J.Radiat.Res.35. 26-34 (1994)

  • [文献書誌] Miura,K.,Naganuma,A.,Himeno,S.,Imura,N.: "Mercury Toxicity.In Toxicology of Metals" Ed.by Goyer,R.A.and Cherian,M.G.,Springer-Verlag, 467 (1995)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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