研究課題/領域番号 |
05304014
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
松原 藤好 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50027877)
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研究分担者 |
土井良 宏 九州大学, 農学部, 教授 (30038210)
武井 隆三 信州大学, 繊維学部, 教授 (80021161)
飯塚 敏彦 北海道大学, 農学部, 教授 (50001441)
山下 興亜 名古屋大学, 農学部, 教授 (50023411)
角田 素行 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50127164)
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キーワード | 人工飼料 / 無菌飼育 / 周年繭生産 / 省力的生産法 / 蚕病発生防除 / 人工飼料育蚕の生理、生化学 / 適合性品種の選抜 / 蚕種製造 |
研究概要 |
人工飼料無菌飼育をベースにしたわが国の新しい周年養蚕を実用化するため最も重要なことは如何に低コストの人工飼料を開発し、省力的生産法を確立するかにある。そこで先ず現在では産業廃棄物となっているオカラを利用することに着目し、飼料中での最大添加量を他の主要素材の関係から決定した。その結果稚蚕期15%、壮蚕期50%添加できることを明らかにした。この飼料で全令3回給餌法で無菌飼育し、標準飼料育と比較した場合発育成長、繭質、糸質も殆んど変らないことから各研究者にこの飼料を配布し、充一った飼料で研究が実施された。オカラ含有飼料で生産された繭糸は黄変しにくいことが明らかとなり、この原因は幼虫体内でオカラを食べることにより合成されたデオキシシチジル酸あるいはシチジル酸の一部が吐糸時にセリシンとともに排出され、セリシン中のこの物質が紫外線を吸収し、絹タンパク質中のチロシンやトリプトファンなどの酸化分解を防ぎ繭糸の黄変を抑制したと考えている。 オカラ含有低コスト人工飼料を5月から10月期の桑葉育の1-4齢期に導入する養蚕法では、蚕病発生が皆無で、挿立一回給餌の飼育法を採用するため飼育労力がかなり削減できる。したがって作柄安定と労力削減の二大難問を解決できる新しい生産法であることが明らかとなった。 その他交雑用原種4種用の低コスト人工飼料の開発、オカラ含有人工飼料に適合する品種の選抜については原種(日、支、欧)12種を用いて研究を進めている。また、原種の飼育標準表も作成中である。 人工飼料育蚕の消化吸収については特に中陽組織の庶糖分解酵素を中心に研究を進めており、蚕が本来持ち合わせている消化吸収機能を明らかにすることによって蚕が消化吸収しやすい食物を探究する視点から新たな人工飼料を開発する試みも可能となるのでその基本的な考え方も明らかとなった以上着実に研究は進展している。
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