研究概要 |
本年度は,無菌のC-Ha-rasマウスの作出を試みた。現在C-Ha-rasマウスはホモ個体が得られないためにC57BL/6J系への戻し交配によりC57BL/6J JCl Tgで維持されているため,はじめにC57BL/6J JCl Tg♂とBALB/C ByJ♀による体外受精法を用い,受精が確認され,且つ2細胞胚まで発生した胚を偽妊娠の親マウスに胚移植法(卵管内移植法)を行い,移植後20日目に帝王切開法により無菌的に取り出し,ビニールアイソレーター内で無菌の里親に哺育させた。4-5週齢時に導入遺伝子解析のための材料採取(尾切断)を行い,DNA解析によりrasH_2/CB6Fl/Tgを判定した。DNA解析は,常法に従い,サザンおよびPCR法を併用して行った。 その結果,TG+23匹,TG-20匹の無菌マウスを得た。TG+と-をそれぞれ2つの群に分け,1つは,無菌のまま,もう一つは,Escherichia coli M66,Enterococcus fecalis M266TA,Clostridium poraputrificum VPI-6372,VPI-1584の4菌種を投与した。全てのマウスにDimethylhydrazine Dihydrochloride20mg/kg/weekで20週間皮下投与し,消化管での発ガン率を比較する。投与フローラは,E-coliが10^<10.6>/g,E.fecalisが10^<10.3>/g,C.paraputrificumは10^<10>/gで定着していた。現在,無菌ならびに上記ノトバイオートでDMH非投与群での発ガン率の比較を行っている。 さらに,無菌マウスや各種ノトバイオートマウスを用いて,腸管上皮細胞やMLNでの免疫細胞による細胞障害性やNR cell活性など,腸内フローラと免疫活性について検討中である。
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