研究分担者 |
米田 幸雄 摂南大学, 薬学部, 助教授 (50094454)
岡田 安弘 神戸大学, 医学部, 教授 (40073069)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
田村 晃 帝京大学, 医学部, 教授 (80111532)
桐野 高明 東京大学, 医学部, 教授 (10161605)
|
研究概要 |
第一回班会議(平成5年12月15日東京,学士会館)では研究成果の報告と併せて研究目標についての議論を行った。虚血性ニューロン死の細胞過程の解明は,立ち遅れている脳卒中対策の基礎として緊急性が高く,重要なテーマであるが,その機構は単純ではなく,本質に迫る前段階として多面的なアプローチが必要であろうとの見解は班員共通の考えとして打ち出された。片岡は,本研究班の意義と今後の班としての方針について説明し,虚血が負荷されたニューロンの最初期過程を海馬CA1領域についてグルタミン酸放出-カルシウム動員の時間経過と温度依存性を中心に分析した結果を報告した。尾崎は,カルシウム動員を阻止しニューロン保護に働くダントロレンの血液・脳関門通過性の誘導体の化学合成と薬効検索を行った。米田は転写制御因子AP1のDNA結合能が,虚血脆弱性の高い海馬CA1領域において虚血負荷4時間後に虚血前レベルの10倍にも達することを見出した。桐野は,虚血ニューロンが総体としては蛋白合成が著しく低下するが,ユビキチンやヒートショック蛋白など特定のものは逆に合成が開始され,ニューロン保護の機能をもつ可能性があることを指摘した。早川は,ニューロンが死に至らない程度の短時間虚血では,逆に次に到来する虚血負荷に対して耐性を生じる機構について分析した。田村は,直接的虚血障害部位から離れた黒質など遠隔領域の二次的障害について検策した。藤島は,虚血負荷をうけて早期に惹起される伝達物質放出に関し分析を行った。岡田はスライス標本において低酸素・低グルコース負荷に対するエネルギー消費率の分析を通じ,幼若なほど虚血抵抗性が高いことを示した。上坂は,軽微低温化で血球の性状がどのように変化するかを赤血球変形能を指標に分析した。
|