研究分担者 |
米田 幸雄 摂南大学, 薬学部, 助教授 (50094454)
藤島 正敏 九州大学, 医学部, 教授 (80038760)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
田村 晃 帝京大学, 医学部, 教授 (80111532)
桐野 高明 東京大学, 医学部, 教授 (90126045)
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研究概要 |
本研究は第2年次を迎え,各班員の当初からの計画に従っての研究の順調な進展がみられた。研究班会議は,平成6年10月21日京都大学芝蘭会館において開催され,各自の研究発表と熱心な討論,情報交換は誠に有意義であった。以下は,その概要である。片岡は,スナネズミ海馬CAI野のマイクロダイアリシスを行い,一過性前脳虚血によって誘発される細胞外グルタミン酸濃度上昇を分析した。虚血5分値では,シナプス前部を起源とするものが一部と,残りはシナプス後部由来とみなされ,虚血前値の15-20倍に達した。その後,20分までに虚血前値の100倍に達する上昇がみられたが,これはアストログリア由来であった。上坂は,クロルプロマジンが赤血球変形能を上昇させることを見出した。このことは,臨床の現場での虚血障害対策としての低体温療法に際し,同薬剤の使用に問題点があることを指摘するものである。岡田は,海馬切片のフィードポテンシャルを測定し,低酸素侵襲よりも低ブドウ糖侵襲が強い障害をもたらすことを報告した。尾崎は,リアノジン型ニューロン内カルシウム貯蔵からのカルシウム放出をブロックするダントロレン誘導体の合成を行い,ヒダントイン核そのものの修飾によっても充分な薬効を見出せることを示した。桐野は,虚血負荷によって顕著に新生されるユビキチン蛋白の機能分析を行った。田村は,中大脳動脈閉塞モデルラットを用い,アミノ酸取り込み能をパラメーターとした虚血侵襲時の蛋白合成障害について分析した。早川は,虚血再灌流時に著しく産生されるNOの測定法を検討した。一方,初代培養ニューロンを用い,虚血耐性獲得の条件下でのcDNAの分析から,耐性関連因子の検索を試みた。藤島は,自然発症高血圧ラットの老令群において脳の低灌流,虚血時グルタミン酸上昇の増強,タウリン上昇の抑制について報告した。米田は,虚血によって転写制御因子APIの発現が海馬諸領域ごとに特異的に誘発されることを見出した。
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