研究課題/領域番号 |
05401010
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
寺地 遵 広島大学, 文学部, 教授 (60033487)
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研究分担者 |
小尾 孟夫 広島大学, 学校教育学部, 教授 (10033507)
吉岡 真 福島大学, 教育学部, 助教授 (70166916)
植村 泰夫 広島大学, 文学部, 助教授 (40127056)
曽田 三郎 広島大学, 文学部, 助教授 (40106779)
今永 清二 広島大学, 文学部, 教授 (60033502)
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キーワード | 王朝権力解体過程 / 権力中心(首都) / 政治権力体 / 権力中心集団 / イスラム共同体 / タイ・イスラム |
研究概要 |
東洋における王朝権力解体過程を、(1)軍事的崩壊、(2)国家財政の萎縮と瓦解、(3)政権構成体内部の求心力の喪失、(4)権力中心=首都と統治地域間諸関係・紐帯の弛緩と解体などの総和過程として設定した際に、本研究計画代表者の関心は主に前項(3)と(4)に注がれた。それは、代表者の専門分野とする宋元両王朝交替期に限定してみれば、(1)(2)項については既に優れた研究が相当数ある一方、(3)(4)特に後者については完全に未開拓の分野であるからである。(3)に関しては「史嵩之の起復問題-南宋政権解体過程研究剳記」において、半世紀に及ぶモンゴル族の軍事的強圧の下で、漢族・宋政権構成体にいかなる亀裂と対立が生じ、主権者=皇帝の指導力の低下とともに政治権力体が自己解体の途をたどるに至ったかを詳細に具体的に解明した。なお分担者、吉岡真による「八世紀前半における唐朝官僚機構の人的構成」も、南北王朝並存期から隋唐朝統一権力創設期の権力中心集団構成メンバーがどのように変動したかを、数世代にわたって追跡した一大労作で、政権の解体過程と特定の宗族・家柄との関連を歴史的具体的に把えている。次に(4)については代表者が近時学界に提起した新しい課題である。「南宋末期台州黄巖県事情素描」において、地方名望有力層と権力中心=首都との連帯一体関係が、科挙制および地方赴任官人との思想・学術の共有によって維持されていたこと、宋元交替の一大変動期にその紐帯がどのように破断されたかを、従来未紹介の新史料、地方志、金石文などを雑えて活写し、中国政治史・地域史研究に新局面を開いた。分担者、今永清二は「タイ・イスラムの〈地域自治〉に関する一考察」において、タイにおける宗教的マイノリティー集団であるイスラム共同体の地域自治の実態分析を通して、タイ王朝権力との接点をも考察し、さらにタイ王朝の変遷に果した一定の意義を明らかにした。
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