研究課題/領域番号 |
05404022
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
細田 泰弘 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051218)
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研究分担者 |
岸田 由起子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40204854)
亀山 香織 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10245467)
倉持 茂 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70137991)
泰 順一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051614)
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キーワード | 肺高血圧症 / 形態計測 / 膠状病変 / 反復性肺血栓塞栓症 / モノクロタリン誘発肺高血圧症 / 5-HT / DV-7028 / 肺血管内皮細胞障害 |
研究概要 |
1)人体病理学的検討として肺高血圧症の肺血管病変に関し形態計測を含めた詳細な病理形態学的検索を行った結果、以下の結論を得た。1.我が国では原発性肺高血圧症の中では叢状病変型が極めて多い。2.叢状病変型肺高血圧症は中膜肥厚、叢状病変を特徴とするが、内膜肥厚は症例による差が著しい。3.急速に進行する原発性肺高血圧症の中に叢状病変の認められない筋型肺動脈末梢側の平滑筋増生を主体とする症例がある。4.肺静脈閉塞症の中に、肺動脈領域の血管炎・拡張性病変の認められる症例がある。5.反復性肺血栓塞栓症の中にin situ thrombosisとすべき例と血栓塞栓症とすべき例がある。6.わが国では膠原病に合併する肺高血圧症の中では混合性結合組織病(MCTD)と全身性エリテマトーデス(SLE)が多い。7.MCTDに膠状病変と間質性肺線維症の両者を併有する症例がある。8.SLEの中に肺静脈閉塞症が見られた。9.SLEの肺血管内皮細胞にtubulo-reticular structureが見いだされた。10.肺高血圧症を合併する強皮症の中に肺線維症を伴わず膠状病変を有する症例がある。11.肝疾患と合併する肺高血圧症の中には、膠原病で結節性再生性過形成と肺高血圧症を有する症例がある。 2)実験病理学的には、血小板由来の重要な血管収縮物質である5-HT(セロトニン)の肺高血圧症における意義を明らかにするために選択的5-HT_2受容体拮抗薬(DV-7028)のモノクロタリン誘発肺高血圧症に対する効果を検討した。DV-7028連続経口投与はモノクロタリン投与ラットの肺動脈圧上昇、右室肥大ならびに筋型肺動脈中膜肥厚の程度を有意に抑制した。DV-7028の5-HT誘発血管収縮抑制作用は、in vivoにおけるモノクロタリン誘発肺高血圧症の抑制に関与すると考えられる。以上の結果から、肺血管内皮細胞障害により毛細血管領域に粘着した血小板より放出された5-HTのモノクロタリン誘発肺高血圧症の成立、進展における役割が明らかになった。
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