研究課題/領域番号 |
05404023
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研究種目 |
一般研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 隆俊 東京大学, 医学部(医), 教授 (30085633)
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研究分担者 |
中鶴 陽子 東京大学, 医学部(医), 助手 (00237314)
小田 秀明 東京大学, 医学部(医), 助手 (40214142)
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キーワード | トランスジェニックマウス / DNA損傷修復 / 発癌予防 |
研究概要 |
環境発癌物質ニトロサミンによるDNA損傷のうち発癌の原因として重要と考えられるO^6-メチルグアニンを特異的に修復する酵素としてO^6-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼがある。大腸菌から分離された本酵素の遺伝子adaをメタロチオネンIプロモーターに結合後、マウス受精卵に導入し、肝臓における酵素活性が正常マウスの約3倍程度の高修復能トランスジェニックマウス(導入マウス)を作成した。導入マウスに硫酸亜鉛投与後経時的に肝臓のメチルトランスフェラーゼ活性を測定したところ、投与後6-10時間後に正常マウスに比べ本酵素活性が約5-10倍に増強した。この際誘導されたメチルトランスフェラーゼはada遺伝子由来の遺伝子産物であることをWestern blot法及びfluolographyを併用したSDS-PAGE法により活性と分子量の両面から確認した。さらにこの導入マウスを用い発癌性ニトロサミンに対する発癌抵抗性についての検討を行った。実験には導入マウスと正常マウスを各々約250匹を用いた。雌雄マウスの生後2週令時に硫酸亜鉛30mg/kg投与し、メチルトランスフェラーゼを誘導した10時間後に少量の肝発癌物質ジエチルニトロサミン、ジメチルニトロサミン(1mg/kg,5mg/kg)をそれぞれ1回腹腔内投与した。計8群について数カ月後に発生する腫瘍を定量的に比較検討した。その結果、8群中5群で有意に導入マウスでは正常マウスに比べ発癌抑制が認められた。有意差のない3群の結果も発癌物質の用量反応性から矛盾なく説明された。これらの知見はDNA損傷修復機構が発癌に対し予防的に働いているということを始めて実験的に証明したものである。
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