研究課題/領域番号 |
05404023
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 隆俊 東京大学, 医学部, 教授 (30085633)
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研究分担者 |
中鶴 陽子 東京大学, 医学部, 助手 (00237314)
小田 秀明 東京大学, 医学部, 助教授 (40214142)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1996
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キーワード | DNA修復 / 発癌 / トランスジェニックマウス / メチルトランスフェラーゼ / 老化 / 突然変異 / O^6-メチルグアニン / がん遺伝子 |
研究概要 |
環境中に広く存在する発がん物質であるニトロサミン等のアルキル化発がん物質は生体への暴露によりDNAにO^6-メチルグアニンを形成する。O^6-メチルグアニンは細胞毒性、突然変異誘発および腫瘍発生の原因となる重要なDNA損傷である。O^6-メチルグアニンの除去修復はO^6-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ(メチルトランスフェラーゼ)によってなされていることが知られている。本研究では大腸菌由来のメチルトランスフェラーゼ(ada)遺伝子導入トランスジェニックマウスを作製・樹立し、DNA修復能力の異なった同系マウスでのアルキル化発がん物質投与による細胞毒性発現及び腫瘍発生への影響について比較検討したところ、adaマウスではニトロサミン投与後の毒性発現軽減作用及び発がん抵抗性が投与量に依存して認められた。また、adaマウスは肝臓自然発生系統マウスであるC3Hマウス由来であるので、生後1年以後、MGMT活性が肝等で正常マウスに比べ約3倍上昇しているadaマウスと対照マウスを2年間観察しその生存曲線及び自然発生肝腫瘍について検討を行った。自然発生肝腫瘍の発生率は良性、悪性の腫瘍をあわせると両群共 48% と差は認められなかった。しかし、病理組織検索の結果adaマウスでは腺腫が60%、肝癌が28%であったのに対し、対照マウスでは腺腫が39%、肝癌が60%で対照マウスではadaマウスに比べ悪性腫瘍の占める割合が有意に高かった。環境中のアルキル化発がん物質暴露に対し、MGMTの高発現が腺腫から肝癌への悪性化を抑制している可能性が示唆された。
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