研究分担者 |
吉竹 毅 埼玉医科大学, 総合医療センター, 教授 (60010261)
岡 輝明 東京大学, 医学部(病), 助手 (60177029)
江連 雅彦 東京大学, 医学部(病), 医員
宮地 鑑 東京大学, 医学部(病), 医員
中島 淳 東京大学, 医学部(病), 助手 (90188954)
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研究概要 |
平成6年度9月までに、日本猿をdonor、ヒヒをrecipientとして30回のconcordant異種同所性左肺片肺移植実験を行った。(1)対照として免疫抑制剤の投与を行わない異種肺移植を3開行った。移植肺は移植後2-3日以内に胸部X線写真上完全に不透明化した。病理組織学的検索では、移植肺は著明な出血梗塞、感染像を呈していた。(2)術前の脾臓摘出ならびにFK506投与開始から異種肺移植までの最適期間が検討され、4日間の間隔が必要でかつrecipientに与える障害が少ないことが明らかにされた。(3)Methotrexate(MTX)によるRescue therapyの効果の検討:血液型B型の日本猿をdonor、ABまたはA型のヒヒ(体重10kg前後)をrecipientとし6回の移植実験を行った。FK506は脾摘後より連日10mg/day、二重濾過血漿交換、第5病日以降にRescue therapyとしてMTX(2-5mg、週2回)を投与した。ヒヒの生存日数は3、5、6、7、17、18日、死因は肺炎2、MTXの副作用2、犠牲死、不明1であった。胸部X線写真上はMTX投与後に移植肺の浸潤陰影の軽快が認められた。(4)MTX少量投与法の検討:B型の日本猿をドナー、BまたはAB型のヒヒをrecipientとした。免疫抑制療法は術前の脾臓摘出、FK506投与(1mg/kg/day)、Methylprednisolone(10mg/kg、0,1,2POD)、MTX(4PODより0.05mg/kg、週2回)であった。治療群の生存日数は6,10,10,12,13,23,35,48日、死因はMTX副作用3、対側肺肺炎2、創感染2であった。胸部X線写真ならびに病理組織学的検討により、本免疫抑制療法により2-3週間にわたって拒絶反応の進行を抑制し得たことが確認された。 次年度は以上の実験の結果の免疫組織学的検討も含めた詳細な解析を行うと共に、異種心臓移植実験を行う予定である。
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