研究課題/領域番号 |
05451004
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
坂出 祥伸 関西大学, 文学部, 教授 (30067574)
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研究分担者 |
大形 徹 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (60152063)
大庭 脩 関西大学, 文学部, 教授 (50067451)
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キーワード | 導引 / 馬王堆漢墓出土帛書「導引図」 / 張家山漢墓出土竹簡「脈書」 / 張家山漢墓出土竹簡「引書」 / 経絡体系の形成 / 気の運行 / 神仙思想の影響 / 馬王堆漢墓竹簡「陰陽十一脈灸経」 |
研究概要 |
研究課題に副う資料の会読を、関西大学文学部・坂出祥伸研究室に於ての毎月一回行い、『引書』訳注については、ほぼ完成した。しかし、中国の文物出版社より、1998年6月に『張家山漢基帛書』が刊行され、そこに出土医書すべての写真版が収録されるとの最新情報を得たので、写真版を見た後に、『引書』訳注を訂正しなければならないと判断し、その印刷刊行は後日を期することにした。この会読に並行して、昨年度に引き続いて、「張家山医書研究会」を開催した。今年度は、10月22日(土)、近つ飛鳥博物館に於て、永田英正・京大教授による「長城守備隊の勤務」と題する発表を聴き、11月20日(日)、京大会館で、研究分担者・大形徹氏による「新出土資料よりみる鬼と気の問題」と題する発表を聴き、さらに1月29日(日)、京大会館で、研究代表者・坂出祥伸による「出土医書に見える自然リズムにももとづく治病・養生」、研究分担者・大庭脩氏による「武威旱灘坡王杖簡冊の復原」の二つの発表を聴いて、各回ともそれぞれ活発な討論を行い、貴重な知見を得た。以上の研究発表及び昨年度の研究発表によって、張家山漢簡出土竹簡『脈書』および『引書』は、馬王堆漢墓出土帛書「導引図」および同竹簡『陰陽十一脈灸経』などと密接に関連する同時期資料であることが確認され、前漢時代における黄帝内経医学の形成過程、とりわけ経絡体系の形成と導引術の展開を具体的に如実に示す古代医学文献であることが判り、同時に、こうした資料は、泰漢時代の神仙思想、とくに「気」や「鬼」の観念を背景にしていることをも十分理解できた。 研究成果は、追って『研究成果報告書』(冊子体)として公刊し、広く中国古代史・古代思想・古代医薬学の研究に提供したい。
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