研究課題/領域番号 |
05451012
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
金田 晋 広島大学, 総合科学部, 教授 (50034591)
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研究分担者 |
安西 信一 広島大学, 総合科学部, 講師 (50232088)
古東 哲明 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10153777)
成定 薫 広島大学, 総合科学部, 教授 (50110466)
原 正幸 広島大学, 総合科学部, 教授 (10092305)
水島 裕雅 広島大学, 総合科学部, 教授 (10034597)
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キーワード | 表現 / アイコニシティ / アイコニズム / 意味作用 / 解釈学 / 擬声語 / 現象学 / 自然音響 |
研究概要 |
表現Ausdruck,expressionは19世紀後半以来哲学や美学の分野で、たとえばディルタイの解釈学、フッセルの現象学において、人間の根源的活動として、また芸術の本質的活動として市民権をうるに至った。芸術運動においても、近年18世紀にまで遡るようになったが、表現性あるいは表出性が前面に押し出される、たとえば表現主義の運動が19世紀末から今世紀初頭にかけておこった。しかしこうした表現作用は、従来言語モデルによって論じられるのが通常であり、言語の本質は意味作用にあるとされてきた。 1960年代、R.Jakobsonが擬声語、擬態語に注目し、言語の本質的作用に類像表現iconicityの存在することを指摘し、学界に大きな衝撃を与えた。この指摘はその後言語の特殊形態を越えて、むしろ言語基盤の次元にまで深められ、そこから文化構造論やフェエミニズム問題への通路も論じられるようになった。 われわれは表題の研究題目に関して、3年計画の第1年目として、担当者全員の問題への共通理解を確認するため、Zeitschrift fur Semiotik II/1・2,1980におけるアイコニシティ特集を基に学習をするとともに、2度にわたって代表研究者金田が同問題の美学および文化研究の意義を発表した。また音楽分野を担当した幣原映智が「音楽におけるアイコニシティ」を発表。類像性からいちばん遠いとされる音楽において、アイコニシティにまとめられる諸問題のあること、その分野が音楽学の対象としてまだ十分に研究されていないことが指摘された。 また本研究チームは、本年度広島大学公開講座「芸術と風土」を担当し、その準備のため既に昨年春から定例会をもってきたが、本研究費受託後はアイコニシティを芸術と風土をつなぐ一つの通路としてより強調して注目、伝統芸能、演劇、庭園、文学、建築、美術等の各分野における問題の発展にこころがけ、次年度に本格的研究に入る体制を作った。
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