研究概要 |
暖房方式の選択において、より快適で、より省エネルギーな方式を追求することは,地球環境問題への対処の観点からも必要である。床暖房は、温風暖房に比べ、室温を低く抑えられ省エネルギー性が高いと言われるが、これを実証した研究は見当たらない。これは、暖房方式によって異なる室内熱環境の違い、換言すれば、熱的快適性の違いを明確に評価する方法が存在しない為である。 本研究の最終目標は各種暖房方式の省エネルギー性を比較評価することである。その第一段階として、床暖房と温風暖房の省エネルギー性を比較評価するため、多数の被験者を用いた実験結果から,等しい熱的快適性が得られる床温と空気温(≒周壁温)の組み合わせによる等快適ポイントを求め,これらを結ぶ「等快適ライン」を作成する。 本年度の研究成果を以下に記す。 1.初年度の被験者実験データの整理・解析を行い、同じ全身温冷感でも床温と空気温の温度差により快適感が異なり、空気温20〜25℃、床温25〜30℃の範囲で快適感が高くなることなどを明らかにした。 2.実験データにをもとに、等快適ラインの大枠を作成した。 3.実験データをもとに、空気温と床温から快適感を予測する手法について検討し、比較的良好な予測結果を得た。 初年度同様,体感の季節変動を考慮して,12月より被験者実験を行い,環境条件の異なる計20ケースのデータを得た。。 最終年度である次年度は,昨年度のデータに本年度のデータを加えて解析を行い,より精緻な等快適ラインを作成するとともに,床暖房と温風暖房のエネルギー消費量の比較,また,床暖房の場合の温熱環境指標について検討する予定である。
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