研究概要 |
暖房方式の選択において,より快適で,より省エネルギー性の高い方式を追求することは,地球環境問題への対処の観点からも必要いである。床暖房は,温風暖房に比べ,室温を低く抑えられ省エネルギー性が高いと言われるが,これを実証した研究は見当たらない。これは,暖房方式による室内熱環境の違い,換言すれば,熱的快適性の違いを明確に評価する方法が存在しない為である。 本研究の最終の目標は各種暖房方式の省エネルギー性を比較評価することである。その第一段階として,床暖房と空気暖房の省エネルギー性を比較評価するため,多数の被験者を用いて評価実験を行い,その結果から等しい熱的快適性が得られる床温と空気温(≒周壁温)の組み合わせ求め,それらの等快適性をもつポイントを結ぶライン-「等快適ライン」を作成するものである。 本研究の成果を以下にまとめて記す。 1.900余名の被験者を用いて評価実験を行った。解析の結果,不満足率が20%以下となる快適性の高い床温と空気温の範囲は,椅子に座る場合は床温(25〜30℃),空気温(20〜25℃)であり,また,床に直に座る場合は,椅子の場合に比べて若干低い範囲となることを示した。 2.被験者実験のデータをもとに,床温と空気温による快適感の予測式を作成し,椅子に座った場合と床に座った場合の熱的等快適ラインを作成した。 3.既往の熱環境指標との比較を行った結果,温冷感ではPMV等と明確な差はみられないが,不満足率については,PMVからの計算では適切に評価できないことが確認された。
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