研究概要 |
暖房方式の選択において,より快適で,より省エネルギーな方式を追及することは,地球環境問題への対処の観点からも必要である。床暖房は,温風暖房に比べ,室温を低く抑えられ省エネルギー性が高いと言われるが,これを実証した研究は見当たらない。これは,暖房方式によって異なる室内熱環境の違い,換言すれば,熱的快適性の違いを明確に評価する方法が存在しない為である。 本研究の最終目標は各種暖房方式の省エネルギー性を比較評価することである。その第一段階として,床暖房と温風暖房の省エネルギー性を比較評価するため,多数の被験者を用いた実験結果から,等しい熱的快適性が得られる床温と空気温(≒周壁温)の組み合わせによる等快適ポイントを求め,これらを結ぶ「等快適ライン」を作成する。 本年度の研究成果を以下に記す。 1.床に直に座った場合について,被験者実験のデータを解析し,前年度明らかにした椅子に座った場合に比べてやや低い,空気温20〜24℃,床温23〜30℃の範囲で快適感が高くなることを明らかにした。 2.これまでに行った被験者実験のデータをもとに,床温と空気温による快適感の予測式を作成し,椅子座の場合の熱的等快適ラインを作成した。 3.椅子座と床座のデータを比較し,データ数の少ない床座についても,熱的等快適ラインを作成した。 4.既往温熱環境指標との比較を行い,温冷感ではPMV等と明確な差はみられないが,PMVから計算される不満足率では大きな差異が生じ,床との接触による熱授受がある場合には,既往指標では適切に評価できないことを示した。
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