研究概要 |
本年度は過去3年間に渡る並列画像理解システムに関する研究の取りまとめと総合的評価を行い、以下の成果を得た。 1.平成5年度および6年度に設計した、再帰トーラス結合アーキテクチャに基づいた並列画像理解用計算機RTA/1にビデオ画像入出力・高速データ転送機能を付加し、ビデオレートでの並列動画像処理が行えるようにした。 2.平成6年度に試作した、トランスピュータ(T805、25MHz)を17台使った実験機RTA/0による基本ハードウェア機能の性能評価実験に基づきRTA/1(PE:1,024台)の性能予測を行い、再帰トーラス結合アーキテクチャの有効性を実証することができた。 3.平成6年度に考案した、組織的並列データ転送手順を用いたデータレベル並列処理方式の性能評価を理論的検討および、RTA/0を用いた実験によって行い、それらの結果からRTA/1上での性能予測を行った。その結果、RTA/1上での組織的並列データ転送手順を用いたデータレベル並列処理の有効性を実証できた。 4.画像から各種の図形を認識する並列対象認識システムをRTA/0上の並列C言語を用いて開発し、その性能評価を行ったところ、微分フィルタリング、しきい値処理、Hough変換による直線検出、Geometric Hashingによるモデル照合の各処理段階において優れた並列処理効果が得られることが分かった。 5.4の実験結果から、RTA/1上での並列対象認識システムの性能予測を行い、本研究の目的である効率的な並列画像理解システムが実現できることを明らかにした。これにより、本研究の目標が達成されたことになる。
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