研究課題/領域番号 |
05454505
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
加藤 有三 長崎大学, 歯学部, 教授 (20014128)
|
研究分担者 |
尾崎 美穂 長崎大学, 歯学部, 教務職員 (50191341)
小林 泰浩 長崎大学, 歯学部, 助手 (20264252)
西下 一久 長崎大学, 歯学部, 助手 (20237697)
俣木 志朗 長崎大学, 歯学部, 助教授 (80157221)
|
キーワード | ラット / オステオカルシン / 血清中イオン化Ca / 血漿中イオン化Ca / ストレス / エーテル麻酔 |
研究概要 |
本研究の目的は一般的に広く実験動物として使用されるラットを対象として、種々の実験薬理学的手法を用いて、血清中の骨基質蛋白質の一つであるosteocalcinの機能をin vivoの実験系により解明することである。本研究の遂行にあたりその基礎的な事項として、osteocalcinがカルシウム結合性を示すことから、ラット血清中のカルシウムイオンの動態との関連性を検索する必要があると考えられた。そこで採血から測定に至る簡便、確実で測定精度の高い血清中あるいは血漿中カルシウムイオン測定の連続微量採血による術式を確立する基礎的検討を行った。すなわち、ラット眼窩静脈叢よりヘパリン処理されたガラス毛細管にて採血し、血清分離後試料中のイオン化カルシウムを測定して、その再現性を検討した。血漿試料17検体、血清試料6検体について検討した結果、血漿中Ca^<++>は1.406±0.021mM(平均値±標準偏差)、血清中Ca^<++>1.465±0.064mMであり、両者のイオン化カルシウム値には統計学的有意差が認められなかった。血清試料でやや高い傾向を示したのは、操作中に一部溶血したためと考えられた。この実験結果から、好気的条件下で採血した試料においても測定までの時間設定を同一にすれば、pHとともに血漿中および血清中イオン化カルシウムの値が精度良く(CV値はいずれも2%以下)測定することが可能であった。一方、採血時のストレスあるいは麻酔の影響を考慮するために検討を加えた。エーテルを吸収させた脱脂綿でラットを麻酔して、経時的に採血し血清カルシウム、リンを計測すると、麻酔の初期に血清中の総カルシウムレベルが低値を示すが、その後回復していくことが判明した。しかし、気管切開したラットに人工呼吸器を接続し完全に呼吸管理をした状態で気化器を用いてエーテルを作用させた場合、エーテルの濃度を2、4、8%と徐々に増加させても動脈血中のカルシウムとリンのレベルはほぼ一定の値を示した。この結果から、脱脂綿による簡便麻酔法ではanoxiaをおこしている可能性があり、その状態ががカルシウム恒常性になんらかの影響を与えていることが考えられる。したがって今後の採血時におけるエーテル麻酔に関しては、今回の実験結果を十分考慮して行う必要があると考えられた。
|