研究概要 |
本研究課題を遂行するにあたり、昨年度は、脈動流抑制機構を有するピストン式ポンプのコンクリートの管内流動状況を再現した小型コンクリートポンプ圧送試験装置を作製し、フレッシュコンクリートを1相系粘性流体モデルとして取り扱った場合は、本脈動流抑制機構の有効性を明らかにした。脈動抑制のメカニズムは、主流側の脈動流に対して新たに補流シリンダを設置し、主流の流速あるいは圧力の時間的変動と対称的な脈動流を補流の脈動流として与え、主流の脈動流と補流の脈動流を合流させて、主流の脈動流を平滑化させるというものである。本年度は、高流動コンクリートの可視化モデルとしてより実際的なモデルとしてモルタル相と粗骨材粒子群からなる固液2相系混相流体として、合流部における平滑化のための補流の脈動流の条件を求めることとした。 合流部での脈動流の平滑化の程度は、可視化による画像データから求められる管内平均流速と管壁に取り付けた圧力センターから求められる圧力の経時変化に基づいて定量的に評価する。高流動コンクリートの可視化モデルとしては、モデルモルタルの粘性をP漏斗の流下時間で100秒と200秒の2種類、粗骨材濃度(粗骨材容積/モルタル容積)を0.1,0.4,0.6,0.8の4種類である。主流の脈動流は実機ピストン式ポンプの計測から近似させたもので1種類のみであり、補流の押出し速度を6段階に変化させた。 種々の実験的検討より、いずれの圧送条件においても主流の脈動流を平滑化させることができる補流の押出し速度が存在することが明らかになり、本脈動流抑制機構が有効であると判断された。また、粗骨材濃度が高くなると、脈動流を最も効果的に抑制するための補流の条件が異なることが明らかになり、この原因としては、脈動流による材料分離の発生であると予想される。
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