研究課題/領域番号 |
05555180
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
嵐 治夫 東北大学, 工学部, 教授 (80006155)
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研究分担者 |
清水 良祐 愛宕物産株式会社, ラマンシステム部, 部長
成島 尚之 東北大学, 工学部, 助教授 (20198394)
井口 泰孝 東北大学, 工学部, 教授 (90005413)
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キーワード | 高温酸化 / 高感度迅速ラマン散乱測定 / 高温ラマン / 顕微ラマン / SiO-B_4C複合セラミックス / Al,Ag-Hg合金 / 酸化皮膜 |
研究概要 |
金属やセラミックスの高温における耐酸化特性は、酸化により材料表面に形成される酸化膜の種類、性状により支配される。耐酸化特性に優れた材料の開発や酸化皮膜制御のためには、高温下における酸化皮膜の形成過程を“その場"観測し、皮膜の分析、評価および酸化機構解明を行うことが不可欠である。 本研究では、超高感度迅速レーザラマン分光法により酸化皮膜成長の“その場"観測を行い、その酸化機構を解明できる装置の開発を目的とする。昨年度において焦点距離64cmのジョバン・イボン社製トリプルモノクロメータ(T64000)とCCD型光検知器を組み合わせて、ラマン散乱スペクトルを測定する超高感度迅速ラマン散乱測定装置を開発し、“その場"観測の有用性を明らかにした。 本年度は酸化皮膜が吸湿性を持つため酸化機構の解明が難しいSiC-B_4C複合セラミックスおよび溶湯表面の酸化皮膜が鋳造時の問題となっているAl,Al-Mg合金について酸化機構の解明を行った。SiC-B_4Cを1073K、酸素雰囲気中で“その場"観測した結果、SiC-B_4Cの酸化機構は酸化初期にはSiC、B_4CからそれぞれSiO_2,B_2O_3が形成されるが、B_2O_3の成長速度が速いため、ボロシリケートが形成されることがわかった。また、Al、Al-Mg合金溶湯においてはこれまで報告されている最高温度よりも高い1273Kで“その場"観測を行うことに成功した。その結果、Al-1mass%Mgが最も激しく酸化が進行し、それは初期に形成されるMgO皮膜の量に依存することがわかった。 以上のように、この研究において開発した超高感度迅速ラマン散乱測定装置を用いて金属の酸化過程を“その場"観測することにより、従来困難であると言われた1273Kにおけるラマン散乱スペクトルの“その場"観測が初めて可能となり、このシステムが高温における金属の酸化機構の解明に有効であることが明らかにされた。
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