研究概要 |
ジフェニルメタン骨格を持つアニオン性シクロファン1a,2aに反応基を導入することにより,触媒性シクロファンを開発することを目的とした基礎検討を行い,以下の結果を得た。 (1)シクロファン1a,2aの基本骨格の架橋部に置換基を導入した場合にゲスト取り込み能がどのような影響を受けるかを確認するために,新規誘導体1b,2bを合成し,それらが水溶液中で芳香族カチオン性ゲストに対して強い取り込みを示すことを,^1H-NMRにより確認した。 (2)シクロファン1bの架橋部の同じ位置に反応基を導入した1c,1dを合成し,カルバミン酸基質の分解反応に対する加速効果を調べた。その結果,最高3.8倍の加速効果がみられたが,シクロファン環に取り込まれる阻害剤の存在下でさらに大きな加速効果がみられたことから,シクロファン1c,1dによる反応加速効果は基質の取り込みに基づくものではないことが明らかとなり,触媒性シクロファンの分子設計において,取り込まれた基質の反応点とホストの反応基との位置・配向関係が重要であることが示された。
|