研究概要 |
ジフェニルメタン骨格を有するシクロファン(1a,2a)を基にして,反応基の導入による触媒性シクロファンの開発,及び膜界面での分子認識への展開の基礎検討を行い,以下の結果を得た。 (1)シクロファン1aの架橋部に反応基を導入した1b,1cを合成し,カルバミン酸エステル基質3の分解反応に対する加速効果を種々の条件下で調べた。その結果,イミダゾール基を持つシクロファン1cにより3.8倍の加速効果が観られたが,不活性ゲストを同時に添加した場合及び対照イミダゾール誘導体を添加した場合により大きな加速効果が観られたことから,ホスト1cによる基質3の分解反応の加速はシクロファン内孔への取り込みに基づくものではないことが示され,触媒基が取り込まれた基質の反応点と近接するような分子設計の必要性が明らかとなった。 (2)シクロファン2b〜dを含むPVC担持液膜型電極により,膜界面でのホストーゲスト錯体の形成に基づく膜電位変化を一連の一級アミン塩に関して調べたところ,2c,dのタイプの荷電性長鎖アルキル型シクロファンが有効であることがことが見出された。
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