研究課題/領域番号 |
05558104
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研究機関 | (財)実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
伊藤 守 (財)実験動物中央研究所, 免疫研究室, 室長 (00176364)
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研究分担者 |
服部 正策 東京大学, 農学部, 講師 (00164864)
谷岡 功邦 (財)実験動物中央研究所, 霊長類研, 室長 (10072406)
赤松 健一 (株)中外製薬, 第一研, 室長
垣生 園子 東海大学, 医学部, 教授 (30051618)
松本 芳嗣 東京大学, 農学部, 助教授 (00173922)
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キーワード | 熱帯熱マラリア / 新世界ザル / 動物モデル / 細胞接着因子 / 脳性マラリア |
研究概要 |
ヒト熱帯熱マラリアの症状の中でも重要視される脳性マラリアのための新世界ザル実験モデルの作製を目的に研究を行い、本年度は以下の結果を得ることができた。 1.感染実験室の整備:新世界ザルへの感染実験のために、サル飼育ケージ8を収納可能な安全キャビネットを設置した、前室を保有する室内陰圧の感染実験室を整備した。 2.in vivo感染実験:ヒト熱帯熱マラリア原虫に感受性が高いと考えられているポリビア産リスザル(東大医科研奄美病害動物研究施設より供給)およびコモンマーモセット(実中研より供給)に摘脾または未摘脾の状態でCDC由来P.falciparum Indochina‐I株およびGeneve株を感染させ、その後の新世界ザルの血液生化学的、病理学的検索を行った。その結果、摘脾の有無にかかわらず、マーモセットでは感染が認めれなかったが、リスザルでは全頭感染が成立した。そのリスザルでは、感染後1〜3週で感染赤血球が血中に認められ、最大感染赤血球比は十数%となった。感染後に大きな臨床所見は認められなかったものの、血液学および血液生化学的には一般にヒトで認められるRBC、Ht、HGの低下および肝機能低下を示唆するGPT、gamma‐GTPの低下が認められた。病理像では、心、肺、腎、胸腺で変化が認められ、特に電顕像で心筋毛細血管内の感染赤血球表面にP.falciparumに特有な微細突起(Knob)が確認された。しかしながら、現在のところ典型的な脳性マラリアの症状を呈するリスザルは観察されていない。今後、さらに他原虫株を検討する必要がある。 in vitro感染および赤血球接着性試験:上記実験に用いた2株のin vitro培養系を確立し、特にGeneve株を用いて、細胞接着因子を発現するヒト黒肉腫細胞株C32に接着性をもつ原虫クローンを選別した。 モノクローナル抗体の作出:感染性を有するリスザル赤血球に対するHybridomaを作製し、現在クローン化中。
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