研究課題/領域番号 |
05558116
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
南谷 晴之 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70051779)
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研究分担者 |
稲垣 大 (株)豊田中央研究所, 研究3部, グループリーダー
片山 国正 テルモ(株), 技術開発本部, 部長
岡田 英史 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (40221840)
捨田利 外茂夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10216145)
寺本 龍生 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00146713)
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キーワード | 人工肛門 / 直腸癌 / 機能的電気刺激 / 有茎大腿薄筋 / 肛門内圧センサー |
研究概要 |
第一ステージとして、家兎の大腿薄筋支配神経の近傍にステンレス捩り線電極を経皮的に留置し、2〜6週間連続のコンディショニング刺激(CD:電気刺激による筋組成変化と耐疲労性の獲得、パルス幅0.2msec、周波数2〜10Hz、振幅可変、過閾値電圧)を約200羽に行った。CDを行った後、薄筋停止部の腱を離断して、5〜50Hz刺激時の等尺性張力測定と50Hz刺激による強縮状態での時間推移を測定した結果、CDを行っていない群では筋疲労による減衰が著しく肛門代替筋としての適用が不可能であったのに対し、CD群では立ち上がり時間、弛緩時間の有意な延長を、また疲労時間もCD期間が長くなるほど延長し、10Hzで6週間のCD群では筋疲労が極めて少なく、耐疲労性が獲得された。ATP‐ase染色による筋切片を顕微鏡観察した結果、CD後の筋においては、疲労することなく一定の筋緊張を保つ筋線維(Type1)が、疲労しやすい筋線維(Type2)より圧倒的に多く分布し、易疲労性の速筋から耐疲労性の遅筋に変化していることが確認された。この結果を踏まえてCDの適用条件を10Hz、6週間とし、第二ステージとして外肛門括約筋を摘出した上でCD後の代替筋を直腸に巻き、肛門内圧をモニタリングしながら周波数15Hzで一定振幅の持続刺激を行った結果、安定な筋緊張と一定の肛門内圧を保持する代替肛門括約筋の機能再建が成功した。このようなCDを行った代替筋の移植家兎では半永久的な持続収縮が可能であり、現在慢性実験として10数羽の家兎の持続収縮を観察中であるとともに、そのうちの双孔式人工肛門を設置した例については7カ月以上の長期にわたり生存中で機能再建が十分になされていることを確認している。一方、ハードウェアの面から刺激装置、圧センサの小型化とともに肛門内圧フィードバックによる刺激パラメータを可変にする肛門内圧制御システムの製作を行い、動物実験への適用を可能にした。
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