研究課題/領域番号 |
05558116
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
南谷 晴之 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (70051779)
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研究分担者 |
相馬 健 日本光電(株), R&Dセンター, 係長
片山 国正 テルモ(株), 技術開発本部, 部長
岡田 英史 慶応義塾大学, 理工学部, 専任講師 (40221840)
捨田利 外茂夫 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (10216145)
寺本 龍生 慶応義塾大学, 医学部, 専任講師 (00146713)
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キーワード | 人工肛門、 / 直腸癌、 / 機能的電気刺激、 / 有茎大腿薄筋、 / 肛門内圧センサ、 |
研究概要 |
本研究は、肛門機能を喪失したヒトに対して心理的負担の大きい下腹部の人工肛門造設術に代わり、大腿薄筋を肛門管周囲に移植し、その筋に電気刺激を行い、筋を収縮させ肛門内圧を保持する生理的人工肛門の再建術に関する研究である。今年度は、研究の第二ステージとして肛門機能を維持するための種々の電気刺激法について家兎モデルを用いて詳細な検討を行った。筋のコンディショニングを行った生理的人工肛門を構築し、その後、一定強度の電気刺激を慢性的に与え、肛門機能を維持させるが、移植筋の刺激闘値変化および体動や呼吸性の力学的変動などにより肛門内圧が変動することが多い。開発したシステムでは、その変動に対応できるように刺激強度を変化させ、筋の収縮量を制御し、余分な収縮をさせることなく、肛門内圧を一定値に保持する内圧フィードバック法を採用した。すなわち、目標値に対して肛門内圧の信号をコンピュータ系にフィードバックし、定値制御するように筋の電気刺激パラメータを変調するものである。電気刺激の可変パラメータはパルス周波数(PF)、パルス幅(PW)、パルス電圧(PV)であり、標準刺激量は、PF=15Hz、PW=0、2ms、PV=筋の収縮闘値より高く、筋全体を十分に収縮させる最低電圧としている。対象の状態によって刺激量を調整できるPW変調とPV変調刺激を試みた結果、前者の方が後者よりも少ない刺激量で肛門内圧を上昇させることができ、また、肛門内圧フィードバック制御においても目標肛門内圧を維持するにはPW制御の方がPV制御より少ない刺激量で制御できることが確認された。これより、大腿薄筋を用いた生理的人工肛門再建術においては、筋に与える刺激量の総和と筋の収縮特性の関係を個体毎に把握しておき、パルス電圧を一定値に設定し、パルス幅変調制御が行えば、良好に肛門内圧制御が可能であることが明らかとなり、本研究の有効性が示された。
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