研究概要 |
本研究は、人間とロボットの作業分担やロボットによる作業への介入の様式を体系化し,実システムを試作してその有用性を検証することを目的とする.本年度得られた成果の概要は以下の通りである。 (1)マスタ・スレーブシステムにおけるスケーリングとロバスト安定性の検討. マイクロマシン分野などの微小な対象物を扱うマスタスレーブシステムでは,スレーブアームのおかれた世界とマスタアームや人間の世界とで支配的な力学現象が異なるため,オペレータの操作に困難が伴う.これに対処するために,長さと力で異なる拡大率を採用する方式が研究されている.本研究では,微小な対象物の寸法を人間が扱いやすい大きさまで拡大させたと仮定したときに,それを操作するのに必要な力をオペレータに提示する方式(幾何学的拡大法)の,制御アルゴリズムを提案し,そのロバスト安定性の検討を行った.また実験により,提案したアルゴリズムの有効性を確認した. (2)仮想オペレータシステムによるヒューマンインタフェイスの検討. ヒューマンエラーによる事故防止のため,ヒューマンインタフェイスの解析および設計の研究が種々なされているが,本研究では,各種ヒューマンインタフェイスを一般的に論じるため,仮想的なオペレータをオペレーティングシステムの中に存在させ,実際のオペレータとコミニュケーションを行う認知モデル(VOS)を提案している.このモデルを用いることにより,オペレーティングシステムと人間を同時にモデル化でき,ヒューマンインタフェイスシステムの問題点などを一般的に検討出来るようになると期待される.本手法の簡単な操作対象への適用についても,初等的な結果を得ている. 途中で研究代表者が代わったこともあり,当初の計画通りに進まなかった部分もあるが,全体的には,良好な結果が得られたと考えている.
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