研究概要 |
本研究では,定係数連立常微分方程式モデルで表現される線形時不変の多入出力連続時間システムに対して,(1)モデルパラトリゼーションの確立(2)測定データと物理・化学法則に基づく情報との相互補完による良質の情報抽出法の開発(3)制御系設計の立場からモデルに要請される事項の整理と(2)で得られた情報との融和を目的としている。以下,各項目について順に研究実績の概要をまとめる. (1)常微分方程式で記述される線形時不変多入出力連続時間システムに対する次数の決定を測定データに基づく場合について検討し、測定データに含まれる雑音のレベルに応じた測定データからの次数推定法を開発の可能性を示した.また,測定データのみからパラメータを一意に決定するためには適切なパラメトリゼーションが必要であるので,モデルの細部構造を規定する構造指数を、パラメータ推定の容易さの観点から選択する方法を検討した. (2)物理・化学法則に基づく考察によりモデル構造が詳細に決定できる場合でも,モデルのパラメータは測定データにより推定することが必要であるが,雑音などの影響のために信頼できる推定値が得られないことがある.これは,先に定めたモデル構造が測定データのもつ情報に比べて詳細すぎることが原因であると考えられるので、物理・化学法則による構造決定の結果を測定データを用いて検証し,モデル構造を適切なレベルまで簡略化する方法の開発を検討した。 (3)制御系設計の観点からモデルに要請される事項について検討した.また、これらの事項の中でパラメトリゼーションに反映可能なものを調べ、測定データおよび物理・化学法則に基づく情報との整合性の良い形式について検討した.
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