生徒の多様化に対応する高等学校の施設計画について、単位制高等学校高校、総合学科高校、その他の新しいタイプの高校を対象とし、時間割編成、選択履修方法等、施設利用状況、生徒の行動等について、ヒヤリング、アンケート、観察調査を行い、生徒の行動の特徴、学校運営上の問題点や工夫についてその実態を明らかにし、計画課題をまとめた。 単位制高校においては、多様な選択制に伴い変動する受講者数に対応できる自由度のある教室構成の必要性と、教科教室型運営方式による計画の有効性を実態調査データをもとに示した。また、生徒各人の学校での生活時間が異なることに対して、学習集団と帰属集団の位置づけを明確にした上で、自主的な学習や自由時間の居場所として、普通教室まわり及びコモンスペースの計画のあり方を課題としてまとめ、情報の伝達・管理システムの必要性を指摘した。 総合学科高校について、学校運営の実態をまとめた上、ケーススタディとして、7系列からなる学年8学級の計画を現実的条件のもとに組み立て、計画原理の提案を行った。主な内容は、(1)系列の関連づけ、(2)少人数ホームルーム編成、(3)教科教室型の採用、(4)教室の再構成、(5)生活空間の充実等である。さらに同一の教育システムを前提として、本来必要な諸スペースを確保したモデル設計を行った。その主な内容は、(6)教科、系列ごとの本来の所要教室数の算定、(7)系列の要望を反映した実習教室面積、(8)教科メディアセンターの設定、(9)大教室、ゼミ教室の配置、(10)教科研究室、準備室の確保、(11)学校生活の拠点としてのホームベースの設定、(12)選択指導のためのガイダンス室、進路指導室、(13)全校の情報伝達空間となる玄関ホール、等である。その結果、モデル案においては計画面積が1.7倍となり、独自の面積基準の必要性が指摘できた。
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