研究課題/領域番号 |
05660158
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
藤原 三夫 岐阜大学, 農学部, 助教授 (20144347)
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研究分担者 |
松下 幸司 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90199787)
伊藤 栄一 岐阜大学, 農学部, 助手 (00176322)
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キーワード | 立木販売 / 森林資源 / 森林経営 / 林業事業体 / 木材産地 / 木材市場 |
研究概要 |
1.岐阜県の伐採届に基づく伐採データの時系列分析結果からは、伐採の規定要因が必ずしも明らかにならなかった。これは伐採届が全伐採箇所について提出されていないためと思われる。ただ、入手できた6年分のデータをまとめることで伐採林分の性格は把握できそうだ。もっとも、捕捉率が低いと考えられる造林保育の補助事業にのらない高齢級間伐林分の把握が今後の課題になる。高齢級間伐の多い町村での照査が必要だろう。 2.伐採届林分の森林基本図にプロットした結果、立地条件を選択する傾向が強く現われている。ただ、搬出条件の悪い箇所では隣接する数林分がまとめて伐採され、生産単位の拡大がみられる。これは素材生産者からの聞き取りでも裏づけられた。したがって、素材生産主体の働きかけが生産量に影響する可能性も認められる。 3.地域別の概況調査を東濃ヒノキ地帯で行った。原木市売市場が山元に多く立地し、森林経営にとって素材価格情報の入手が容易になったこと、また伐出労働力の高齢化と減少により、全ての町村で民間林業事業体(素材生産業者)が著しく減少している。したがって、森林組合の林産能力の如何が素材生産量を強く規定する関係がある。ただ、林内路網の整備水準によっては森林経営の自伐もみられる。 4.もっとも、林家調査結果では伐採動機を臨時の家計収入の必要とする森林経営が依然多く、しかも世代交代に伴って森林経営への関心も下がる傾向にある。また木材産地の形成効果が必ずしも森林経営の段階にまで及んでいないため、産地銘柄化の推進に対する評価も相半ばする。したがって林政の方向づけも再検討を要する。 5.今後、素材生産量の拡大を図るには、第三者機関の設置による計画的な伐採の実行が必要かもしれない。その場合、なんらかの金融事業と関連づけることが有効と考えられる。今後の重要な検討課題である。
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