研究概要 |
マウス胸腺から抗CD8抗体を用いたバニング法や抗CD4,CD8抗体を用い、セルソーターを使ってCD4^+CD8^+(DP)細胞を分離した。抹梢成熟T細胞としては、脾臓などからナイロンウ-ルカラムを用いて分離した。これらの細胞を、35S-メチオニンでラベル(パルス)し、その後、正常培養液に戻して、さらに0〜6時間培養する。いわゆるパルス/チェイスの実験を行った。細胞を可溶化した後、TCRの各コンポーネントに対する抗体を駆使し、免疫沈降を行った。TCRの各コンポーネントは一定の順序で会合するため7本の完全な複合体(αβγδεζζ)や、途中の2本(αβ)、3本(αβγ)、5本(αβγδε)の複合体を別々に分離することができる。この免疫沈降物を、二次元(非還元/還元)のSDS-PAGEに展開し、新しく合成された種々の段階の複合体の量を同定した。 平成5年度では、正常マウスでのCD4^+CD8^+(DP)細胞の各コンポーネントの合成及び分解速度を決めることができたCD4を介したシグナルによりTCRの分解速度が負の方向に調節されていることもわかった。さらにCD4TGマウスを用いた実験からCD4を介したシグナルはp56^<lck>チロシンキナーゼによることもわかった。またCD4を過剰に発現させることにより、p56^<lck>のシグナルが低下してしまうこともわかった。 平成6年度ではDP細胞でのTCRの低発現はTCRα鎖のグリコシレーションがα鎖とβ鎖のS-S結合に重要であることもわかった。
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