研究概要 |
1.ケタミン投与がマウスの認知障害をドパミンの放出を障害することにより引き起こすことを行動薬理学的に証明した。D2レセプターの関与が考えられた。 2.抗うつ薬クロミプラミン(0、5、10、20mg/kg)をマウスに反復投与(5回および7回)すると、前脳皮質において投与量および投与回数依存的にムスカリン受容体は増加した。しかし、NMDA受容体は、7回投与でのみ10,20mg/kg投与群で増加した。両受容体数の測定は[^3H]QNBおよび[^3H[MK-801を用いて結合実験で行った。 3.NMDA受容体のセカンドメッセンジャーに及ぼす影響を研究するために、小脳スライスを用いて、NMDA受容体が関与するcGMP産生量を検討した。cGMP産生量は著明に(対照群の30-401%)減少していた。この減少は、グリシンを添加により60-80%回復した。 4.クロミプラミン反復投与(7回)マウスはスコポラミン(ムスカリンアンタゴニスト)(0.5mg/kg)の行動量増加に対する感受性を投与量依存的に低下させた。しかし、MK-801(NMDA受容体アンタゴニスト)(0.3mg)の感受性には影響を与えなかった。 5.クロミプラミンはムスカリン受容体およびNMDA受容体共に前脳皮質において増加させる。しかし、ムスカリン受容体に対する影響の方が、NMDA受容体に及ぼす影響より感受性が高い。さらに、NMDA受容体にカップリングしているグリシン結合部位の機能がクロミプラミン反復投与により変化することが考えられた。
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