研究概要 |
麻酔ラットの律動性膀胱収縮の膀胱および尿道内圧変動に及ぼすN^G-monomethyl-L-arginine,N^G-nitro-L-arginine methyl ester,methylene blueの動脈内投与の効果を検討した。横紋筋弛緩剤を投与し,外尿道括約筋活動を消失させた状態において,N^G-monomethyl-L-arginineとN^G-nitro-L-arginine methyl esterは尿道内圧の低下を抑制した。methylene blueは尿道内圧の低下を抑制し,膀胱収縮を促進させた。以上から,L-Arginine/Nitric oxide/cyclic GMP pathwayは内尿道括約筋の弛緩に関与し,膀胱活動にも影響を及ぼすことが示唆された。 除脳イヌの反射性排尿に及ぼすL-Arginineとmethylene blueの動脈内投与の効果を検討した。その結果,L-Arginine 30mg/kgの投与により,膀胱容量および残尿量が増加した。また,L-Arginine 60mg/kgの投与により,膀胱収縮圧が低下し,残尿量が増加したが,その後,methylene blue 1mg/kgの投与により,膀胱収縮圧が増加し,残尿量も減少した。以上から,L-Arginine/Nitric oxide/cyclic GMP pathwayは尿道活動のみならず,膀胱活動にも関与することが示酸された。 除脳イヌの橋排尿中枢電気刺激による膀胱収縮に及ぼすmethylene blueの動脈内投与の効果についても検討を加えた。膀胱頸部で結紮し,膀胱容量を一定にした状態とし,橋排尿中枢に電気刺激を行った。電気刺激に対して生じた膀胱収縮圧はmethylene blue(0.1-3mg/kg)の投与により増加した。また,膀胱収縮持続時間も延長した。したがって,L-Argininne/Nitric oxide/cyclic GMP pathwayは排出時の膀胱活動にも関与することが示唆された。
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