研究概要 |
AAVベクターのパッケイジング効率は,その機能を持つAAV Rep蛋白質の細胞内濃度に依存すると思われるが,この蛋白質は細胞増殖を抑制する事が知られている。そこで,グロココルチコイドによって活性化される誘導型プロモーター(MMTV LTR)の下流にRep遺伝子を繋ぎこんだ発現ベクターを構築し,これをゲノムへ組み込んだ細胞株へデキサメサゾン(DM)処理することによって,AAV Rep蛋白質の細胞内濃度を上昇させる方法を検討中である。作成した誘導型Rep蛋白質発現ベクターをHeLa細胞へ導入後,10μMDM処理を行うと,Rep蛋白質のmRNAが生成していることをRep遺伝子のプライマーを用いるRT-PCRにて確認した。現在,このベクターをHeLaおよび3T3細胞へ組み込んだ細胞株の性質を検討中である。また,この発現ベクターを基にして,バキュロウイルスによる昆虫細胞でのRep蛋白質発現系も検討中である。 大腸菌用融合蛋白質発現系(pMAL-cベクター)にて、マルトース結合蛋白質との融合蛋白質として分離した23kDaの外殻蛋白質は外殻を構成する3種の蛋白質全てに含まれる為、これを抗原として作成したmonoclonal抗体はAAVベクターに対する中和活性を持たなかった。現在,これらのmonoclonal抗体の性質を更に検討中である。また、反応系より選択的にAAVベクターを分離・濃縮する方法として確立した硫酸セルロース法は、10^<10>ウイルス粒子/ml(10^8 colony forming Units/ml)までAAVベクターを生物学的力価を保持したまま分離・濃縮出来る事を確認した。この知見はいAAVベクターの分離・濃縮に重要である。
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