研究初年度では以下に記す点について、成果が得られた。 1.4種類の光合成系の配列データに対して、Clusmol/Sシステムにる知識処理を行い、光合成機能に特徴的なアミノ酸部分配列を抽出できた。ついで、R.viridisの立体構造から特徴的な残基の側鎖を抽出し、光反応中心全体の電子伝達系のモデル分子を構成することができた。 2.このモデル分子中の色素対および近接するアミノ酸残基側鎖を対象として、分子軌道法(Extended H〓ckel法)計算を実行し、色素間および色素と側鎖の間でのLUMO-LUMO軌道間の電子的カップリングの強さを計算するとともに、それらの軌道の広がりをグラフィックスワークステーション上で視覚化した。 3.現在までの段階では、Bpheからキノンへ電子が移動する際に、LサブユニットではTrp残基をブリッジとした超交換相互作用により電子が移動できるが、Mサブユニットでは対応するPhe残基の空間配置が不適切であるため、電子が移動できないことが明らかになった。またキノン間の電子移動においては、非ヘム鉄とその周囲の配位Hisがブリッジとして重要な役割を果たしていることが明らかになった。 今後、スペシャルペアからBPhe、およびチトクロームサブユニットからスペシャルペアの間での電子移動と、3重項エネルギー移動における残基側鎖の役割を明らかにする予定である。
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