固定された回転軸をなんら有しない球を、その上半球の適当な緯度に、120度の位相で配置した駆動ローラでもって摩擦伝動により転動させる、支持・推進ユニットを考案してすでにその基礎実験を済ましていた。 本補助金による計画では、上記ユニットを3基試作して車両を構成して、本構想による車体の支持・推進を検証し、球駆動機構の問題点を明らかにするとともに対策を検討し、実用化への具体的な計画を策定することである。 本年度においては、車両を構成し走行状態での、駆動ユニット各部を計測-駆動ローラに働く法線力及び駆動トルク-し、各ユニット3個の駆動ローラそれぞれの状態を観測し、駆動の特性を明らかにするところまでを予定した。そして、予定どおり遂行した。 本構想の駆動機構では、つねにいずれか2つのローラが進行方向に対し60度をなし、他の1つのローラが90度をなす。このため進行方向によって転動の安定性に差が有ることが判明し、その原因が検討されていた。今回上記計測を実施したことにより、検討されていたことが確認された。また、以下のことが判明した。ひとつのユニット分の車体重量が、必ずしも3個のローラにより均等に支持されているのでなく、進行方向に対し60度をなすローラのいずれかに偏っている。このことが、球がローラから離脱する原因であると考えられる。また、転動トルクは、進行方向によって、60度をなす1対のローラによるか、90度をなすローラによるかが決まる。このことが、走行に蛇行の差が生じる(後者の方が大きい)原因であるとかんがえられる。これらのことに対する対策は目下検討中である。
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