新鮮鶏卵卵白より、オボムコイド、オボフラボプロテイン、オボアルブミン、オボトランスフェリン、及びオボムチンを調製し、それぞれのウイルスに対する親和性をロタウイルス及びニューカッスル病ウイルスを用いて測定した。両者のウイルスに対して最大活性を示したのはオボムチンであることを、まず明らかにした。そこで、卵白より水様性と濃厚性層別にオボムチンを再度調製し、同様にして活性を測定したところ濃厚性由来のオボムチンに最大活性を検出した。このオボムチンは粒子量が2000万以上の巨大な分子構造を有していたため、ペプシン或いはトリプシンを用いて酵素分解して小片化を試み、ゲル濾過及びイオン交換カラムクロマトグラフフィーなどにより分画した。この結果、オボムチンが糖鎖を主体とするフラグメント(粒子量40万)とタンパク質を主体とするフラグメント(粒子量18万)から構成されており、前者のフラグメントが活性に関与している主要な区分であると判明した。この前者のフラグメント分画物をさらにトリプシンによって継続して消化を続け、ゲル濾過して粒子量17万、7万及び複数個の2万以下の糖ペプチドに分画した。粒子量が小さくなるほど活性も低下した。この結果より、ウイルスに対する活性には比較的大きな粒子の分子構造と、複数個の糖鎖が必要であると認められた。17万の成分はロタウイルスよりもニューカッスルウイルスに対して親和性が高く、ウイルスの微細構造の差が生物活性発現情報の違いとなっているとした。現在この17万のものの糖鎖及びタンパク質の構造解析を行うと共に、アミノ酸の存在における凍結濃縮による活性成分の簡便的分画方法の検討並びに活性発現に際してのサポニンによる乳化の効果につき検討を加えている。
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